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破竹の勢い
「昭和16年12月8日、日本帝国海軍艦隊はハワイ諸島のアメリカ海軍基地を電撃作戦を仕掛けて宣戦。以来、破竹の勢いで……」
たけのこの季節。破竹の勢いと聞くと真っ先に頭に浮かぶのは、第2次世界大戦中の大本営発表ですが、これは止めても止まらぬ勢いを現す言葉であります。
一般的なたけのこは孟宗竹の地下茎の若芽の部分で、地上に少しだけ頭を出したところを掘って採取します。私たちが採るのはハチク。中国原産の竹の1種で、漢字で書くと淡竹。地上に30〜40センチ伸びたものを包丁やナタで切って採ります。

前日数センチだった淡竹が、翌朝には30センチくらいになっていて、まさに破竹の勢い!一般的なたけのこよりアクが少ないので、アク抜き不要とも言われますが、少々エグみが。私は皮を剥いて、鍋に沸かした熱湯に一晩つけておきます。

毎年、採れた淡竹を並べて眺めては「獺祭だ〜」と、私は1人ほくそ笑んでいます。「獺」はカワウソの意。カワウソが捕った魚をずらり並べる様を「まるでご先祖様へのお供え」と見た中国の人は、旧暦のお正月を「獺祭」と呼ぶそう。日本で獺祭といえば、山口県は岩国の日本酒。国際線のファーストクラスでも採用されている大人気銘柄です。

皮を剥くと、どんどん小さくなってしまうところがタマにキズ。ゴミと化した皮は山となり、「採ってるからいいけど、買ったらお金払ってゴミを買ってるようなもんだわ」と、とりあえず悪態つくのが恒例行事です。


煮物にしたり、炊き込みご飯にしたり。1番のオススメは味噌漬け。

千歳屋流「淡竹の獺祭」は毎年6月〜7月上旬。来年は是非この時期にお出かけください。ご馳走いたします♬

今夜は、蕨と淡竹の漬物盛り合わせで乾杯!
初夏の食べ仕事
ふきのとうに始まり、たらの芽・こしあぶら・こごみ・うど……と春の味覚でたらふく日本酒を飲んで、やっと身体が目覚めてきました!(冬眠していた熊かい)

(タラの芽・カンゾウ・ウド・菜の花)
田植えが終わり、野菜苗の植え付けなどに忙しい中押しかけてくるのが……淡竹(はちく)や蕨(わらび)といった初夏の味覚です!

忙しいと言いつつ、いつの間にかそれらを採取してくる家人。「仕事帰りにちょっと立ち寄ってさ」。仕事帰りに寄るのが一杯飲み屋さんでもスポーツジムでもなく、里山や野原というのは笑うしかありませんね。う〜、眠い〜!と思いつつも、ズクを出して(信州の方言で、こまめなやる気を出しての意)米ぬかや重曹を入れた熱湯に浸してから眠りましょう。翌日の晩酌が、更に充実するのが心の支えです↗️

この時期のキッチンは鍋だらけ、ガスコンロはフル稼働です。アフター5に筍や山菜を採り、通った小学校が標高800メートルだったと言うと「吉村さんは山奥に住んでるんですか!?」とよく聞かれますが、全然違います。長野県は普通に標高が高いんです(笑)住宅地から少しだけ足を伸ばせばこんな自然の恩恵に授かれるのは、皆さんにオススメしたい地方の魅力の1つであります。

今夜も日本酒で乾杯!
寿一番星第9弾に向けて
ゴールデンウィークが終わり、先発隊である酒米「ひとごこち」の田植えが始まりました。私たちのオリジナル清酒「寿一番星」を醸すためのお米です!
そもそも、日本酒を造るためのお米(酒米)と、私たちが普段食べているお米(うるち米)は全く別物。酒米「ひとごこち」は、長野県農事試験場で開発された品種です。

田植えのあとは「植えなおし」。田植え機が回転するため苗がきちんと植わっていない田の四隅や苗の本数が少ない箇所に、手で苗を植え直す作業ですが、これがけっこうな辛さ!重たい泥が脚にまとわりつき、たった数歩進むのも一苦労です。「ちょっとだけやるか〜」と植えなおしを始め、先を見るとおやおや、その先もおやおや、苗が抜けている箇所が次々と目につきます。見てしまったら植えたくなるのが性。途中、泥に尻もちをつくこと1回、結局半日田んぼの中を這い回るハメに……。

今年は新しい機械を導入したこともあり、水もちの良い田にすべく「荒おこし」「代ごせ」といった準備作業に例年より日を割いていました。その間に苗がやや成長しすぎてしまったよう。田植え機が大きめの苗をつまみきれず、空植えの箇所が頻出してしまったのです(泣)
ミレーの名画「落穂拾い」をご存知でしょうか。刈り取りの終わった麦畑で、落ちた穂を拾う婦人たちが描かれた絵です。子どもの頃に山梨県立美術館でこの絵を見た時「どこの国の人も同じようなことをやってるわ」と母が呟くのを聞きました。日が暮れかかった田で、背中をこごめて米のついた稲わらを拾う祖母やおばの姿が頭に浮かびました。「生きるって大変」―――生まれて初めて漠然と不安を感じた小学生の私は、美術館のソファにゴロンと寝転がりました。するとすぐに、案内係の女の人が飛んできて「館内ではそのようなことはおやめください」と。ミレーと聞くと、今でも複雑な気持ちに駆られるのでした。
閑話休題。大型機械による大規模稲作が増えた今、植えなおしなる作業をする人はだいぶ減りました。「一粒でも多く収穫したい」「一粒たりとも無駄にしたくない」―――植えなおしと落穂拾いは、百姓魂の根本を忘れぬための作業として、これからも大切にしていきたいと考えています。

仲間が応援に寄ってくれました。スーツに長靴姿がステキ!差し入れジュースに混じってお酒発見。うわーい♬と思いきや、つい最近亡くなった若いご親戚のお葬式のお酒だそう。

この日の早苗饗(さなぶり・田植えの祝宴のこと)はいつもよりやや静かでした。「私たちもあと何回お米が作れるかな」「元気でいなきゃね」。
早苗饗に 働かぬ人 来ておりぬ 野井文夫


千歳屋について
清らかな水を蓄えた肥沃な大地は、古くから農業を栄えさせ、豊かな食文化を育み、ふんだんに供してきました。脈々と続いてきた尊い営みを学んで実践し、後世へと伝えていきたい――それが農業倶楽部「千歳屋」です。


寿一番星倶楽部について
酒米の田植えや稲刈りを楽しみ、慰労の酒を酌み交わし、出来上がったオリジナル清酒を味わい、日本酒文化を通じて得た感動を発信するなどの活動をしています。


唎酒師 結城子
おばあちゃんたちが作ってくれた「知恵の食卓」を伝え継ぎたい。そうした思いから、私は利酒師として酒と肴、郷土食を研究しています。
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